ながおかドキドキ通信
小説「光る砂漠」ー夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
三條養護学校の教室
いつも通り授業が開始となる。宰は黒板に書かれた数学の内容がさっぱり理解できず表情も次第に曇ってくる。午前中の授業も終えてゆきが宰を向かえに教室に入って来る。車椅子に乗った宰とそれを押すゆきは廊下を渡って病室に向かう。
養護学校から病室への渡り廊下
「何か元気ないわね宰君」とゆき。「ちょっと授業が面倒で・・・。分からんことばっかりで。ゆきさんオレに数学を教えてくんねろかね」という宰。「私が宰君に数学を教えるの・・・。無理だがねそんげなこと」とゆき。「そんげなことなえでしょう。中学1年の数学らもの」と宰。「中学1年ね・・・。中学1年なら何とかなるかもね」というゆき。「頼むすけ教えてくれね」と宰。「わかったわ。今度の日曜日に数学を教えてやるわ」とゆき。「ああこれで助かった。また学校へ行く楽しみが増えたて」と宰は喜ぶ。