ながおかドキドキ通信


     小説「光る砂漠」−夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
        東三條駅
 駅では三條特産の金物製品の出荷のため貨物列車に荷物を搬入するのに忙しい駅員。切符売り場で見附駅までの大人用の切符を2枚買う元。待合室の木製のベンチに宰は腰をおろしている宰。やがて改札口から列車の到着を知らせる駅員。「11時50分発下りう長岡駅行きの列車の改札です。乗り場は橋を渡って3番線です」と駅員がコール。「じゃあ行こうか」と元。「はい」と宰はベンチから立ち上がる。改札を抜けて木造の越せん橋を渡って3番線のホームに立つ元と宰。そこへジーゼル機関車にけん引された列車が入線して来る。
    下り長岡駅行き列車内
 列車に乗り込み4人掛けの椅子に向かい合って座る元、宰。列車の外の田んぼの景色に目を奪われる宰だった。
 「宰、腹へってねえかや」と風呂敷包みから朝、レウが握ってくれたおにぎりを取り出す元。それを見て母、レウが握ったおにぎりに手をやる宰。
 「かあちゃんが握ってくれたおにぎりだ」とむしゃぶりつくようにほうばる宰。それを見ながら元もうれしそうにおにぎりを食べる。「お前が家に帰ってくるのは何年ぶりかな・・・」という元。「4年半ぶり」と宰。「そうかそんげになるんだ。親父も死んでしもうたしなあ・・・」と元。「おれ、じいちゃんが死んだ時、本気で家に帰りたかったんだ」と宰。
 やがて列車は見附駅に到着する。他の乗客とともに改札口を出る元と宰。そして駅で客待ちしていたタクシーに乗り込む。繊維工場や染物工場が乱立している見附の町並みに目を凝らす宰。刈谷田川を渡って矢澤家の前でタクシーが止まる。ガマ口の財布から料金を支払う元。タクシーを下車する元と宰だった。
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