ながおかドキドキ通信


       小説「光る砂漠」−夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
    夏の夕暮れの見附駅
 昼の暑さがウソのような涼しい見附駅。周りの田んぼには蛍が飛び交っている。日曜日から家に外泊していた宰は火曜日の夜、病院へ戻るため元に見送られて見附駅待合室で列車の到着を待っている。やがて改札が始まる。「もうすぐ病気も完全に治るようだすけ、無理しねえで辛抱するんだろ。それからこれは病室の皆で食べろ」そういって元は醤油饅頭の包みを宰に渡す。「とうちゃんありがとう。とうちゃんも元気での」と宰。「おお、ありがとうよ」と元。「オレそれじゃ行くすけの」といって宰はトボトボと向かいの3番線のホームに向かう。やがて暗ホームに列車が入ってくる。改札口から宰の姿を寂しそうに見送る元だった。
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