ながおかドキドキ通信


  越後の昔話
   「カラス村があったてんがの〜」
 昔々、越後にカラス村があったがぁと。そうしてそのの村は汪という悪あるい人が村のえぇれい人だっただと。汪といのはは村人にはやさしい時もあるろも、おもしろうねぇ時になると手がつけらんねぇぐれえおかねぇ人らんたんだと。
 そんげなある日のことだったんだって、汪がいっぺいこと食ねんで村から追んでて行く隣の村も手に入れたんたと。あんまりにもおっかしいもんでカラス村の福というカカが汪に聞いたんだと「オメさんもたいしたもんだノー。食わんねで村を出ていってしもうて人もそんげに住んでねえ村をよう手に入れたのう」と。そうしたら汪がいうたと「あんげな村を手に入れるのなんてぞうさもねぇことら。ゼンさえくんれば、あんげな村からだあれも出て行くこてや」。福はおったまげて腰ぬかしたと。
 その話を家にかえってから福は家のもんに話したと。そうしたらババアがいうたと「やっぱし汪はトトの血を引いたワアリィ男られ」と。ハバァはづうと話してたと。「汪のトトは覚というて、若けえ頃、バクチばっかやってたんだと。そんげな日、覚はどういうわてけらかしらんどもバクチしてよっぽろももうけたんだと。そうして隣の村をバクチでもうけたゼンで村ぜんぶを買うてしまうたがあと」。福の子どもは、いっつも福んことのいうことは聞かんろも、そん時は、おもしいてよう聞いていたんだと。ババアはそれがうれしいもんだすけ、いっぺえこと孫が寝るまでいうて聞かせてやたと。そうしたら孫は聞いてきたんだと「バアバア、汪のトトの覚は、村買うてからどうなったがぁ」と。ババアは、いうたと「覚は、いばってばっかりいて悪りいことばっかしたので神様にバチがあたってチュブになって手も足も神様にもがいて死んでしもうたと」。おっかしいと思った孫は、またババアに聞いたと「ババア。覚のことはようわかったろも汪はこれからどうなるのらめがあ」。そうしたらババアはいうたと「トトは悪りいことやて手足もがいて死んでしもうたろ。汪らってそのうちバチがあたってチュウブなって手と足もがいて死んでしもうこてや!」。いちやぽおん〜とさげた。