ながおかドキドキ通信
小説「光る砂漠」−夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
宰の家の玄関
麗、玄関で「ただいま」と家に入ろうとする。宰は元気がなく疲れ果てて無言で玄関に入った。二人を出迎えに玄関に急ぐ元彦。
元彦「宰、卒業式の答辞はうまくいったかや」宰は相変わらず無言でやっとうなずくだけだった。
元彦「宰、どうしたがらや・・・。何か元気がねえなみていえらなあ」
麗「そいがあて、答辞はうまくいったろも終わった時、あんべい悪くなってさ、倒れたんだて」
元彦「そういえば顔色も悪いみていらな。布団敷いてやるから早よ寝たほうがいいみていらな」
宰はとうなずいて玄関から自分の部屋に入って行く。
元彦「宰は、また熱が出たのかのう。何か悪い病気じゃねえばいいがのう」と麗の顔をうかがう。
麗「心配らて。着替えたら後であんべい見に行くこて」。そういって麗も玄関を上がって夫婦の部屋に急いだ。
【続く】