ながおかドキドキ通信


 小説「光る砂漠」−夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
  見附市本町で麗が営む惣菜屋
 入り口は半間しかない惣菜屋。夕方のお客に備えて忙しそうに天ぷらを揚げる麗。そこに女性の客が訪れる。
 「イカ天3つと野菜天ぷら5つくんなせい」と注文する女性客。「はい。ありがとうのう。今、包みますすけちっとまって下さいの」といわれた通りの天ぷらを包む麗だった。「この間、ここで買うていった天ぷらが美味いといってオラんちの倅がまた買うてきてくれといったもんでまた買いに来たこて」と女性客。「ありがとうのう。150円ですすけの」と包みを渡す麗。「そんらろも、この店はいつからやっているんだのう」と麗に尋ねる女性客。「昨年の暮れからですて」という麗。「お前さん夜、おそうまでこんげな商売やって子どもはいねえがあらかいの」と心配そうに麗に尋ねる女性客。「いるがあろも、入院しているんで金稼がんばねえんで店はじめたがあて」という麗。「そらたいてがねえ。頑張ってくんなせいの。また、買いにくるすけのう」と麗をはげますように話す女性客だった。「ありがとうございますのう」といいながら女性客の言葉に胸にこみあげてくるのを感じる麗だった。