ながおかドキドキ通信


 小説「光る砂漠」−夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
   3学期を迎えた見附中3年22H朝の教室
 ゆきは松本に会えることを楽しみに教室の自分の席に座る。スカートのポケットには初詣で買ってきた高校合格のお守りが入っている。ゆきの視線は松本の席に向いていた。ところが松本の席にはその姿がないことを確認して不思議そうな表情を見せるゆき。その時、始業を知らせるチャイムが鳴り渡辺先生が入ってくる。
 「皆さん、明けましておめでとうございます。正月はどんげやってすごしてましたか。中学生最後の正月でしたね。いつまでも正月気分にひたってないで早く普段の生活に気持ちを切り替えることが大事ですよ。もうあと1カ月ちょっとで高校受験だすけね。それと新年早々、あんまりいい話ではないんだけど松本君が冬休みにカゼをこじらせて入院しました。今朝、お母さんから電話がありました。大したことはないようですよ。受験には間に合うようだすけ皆も心配しないでくださいね」とそういって渡辺先生は新年のホームルームを締めくくろうとした。
 驚いたゆきは慌ててスカートの右ポケットにしまってあるお守りに手をやった。そして渡辺先生に質問するように突然、立ち上がった。渡辺先生は「ゆきさん。何か質問らかね」と聞く。「いえ、いいんです」と席に座るゆき。激しいショックに襲われ動揺するゆきだった。

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