ながおかドキドキ通信

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  小説「光る砂漠」−夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
       三條養護学校の教室
 ゆきに車椅子を押された宰が養護学校の教室の前までやって来る。教室の前には日課表が貼り出されている。宰は中学校の教室へ。中には8人の養護学校生が授業の開始を待っている。やがて遠間先生が教室に入ってくる。
 「おはよう。皆も知っていると思うけど今日から皆と一緒にこの教室で矢澤宰君が勉強することになりました。まだ、一日おきの授業ですがようやく体力も回復して養護学校に通えることになりました。皆さんと仲良くがんばりましょう」と遠間先生は宰を紹介した。クラスメートも仲間が増えてか歓声をあげる。
 車椅子に乗りながらクラスメート一人ひとりに礼をする宰だった。最初の授業は宰の得意な国語。うれしそうに国語の教科書を開く宰。その表情は生き生きとしていた。
 やがて午前中だけの授業も終えてゆきが宰を迎えにやって来る。宰の病室までゆきは車椅子を押しながら学校のことを聞く。「授業どうだった・・・」とゆき。「最初は国語だったけどオレ今までベットの中でいっぱい本読んでいたからそれほど難しい授業ではねかった」と宰は自信タップリに答えた。「そう。それはよかったわね。私、今、三條高校の定時制に通っているけど国語って苦手なんだ・・・」とゆきは自嘲気味に話した。「ええ、ゆきさんが定時制高校に通っているなんて全然知らんかったよ」と驚く宰。
 宰を乗せた車椅子か゜宰の病室に入る。宰は疲れた様子もなくベットに横になった。「じゃあ明後日また迎えに来るから」といってゆきは誰も乗っていない車椅子を押して出て行った。  
              (続く)
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