ながおかドキドキ通信


   政治の裏舞台とは・・・
     外務省「日米密約を公表」

  10日、の新聞各紙は、外務省有識者委員会が岡田克也外相に提出した報告書の中で1960年の日米安保条約改定時に「核搭載艦の寄港、通航」を事前協議の対象外があったとする問題について「暗黙り了解」があったとして結論づけた記事を1面トップで掲載していた。
 元新聞記者のオイラとしては「ナルほどナ」と思った。そのナルほどとは支持率が下がり放しの民主党にとってはこの問題こそ起死回生の戦術なのだと思ったことだ。
 党首の鳩山由紀夫首相、小沢一朗幹事長の政治とカネの問題。さらには沖縄の普天間基地移設を巡っての迷走ぶりなど国会運営で窮地に立たされている。鳩山首相は、普天間基地問題を「5月に結論を出す」とかねてから自信ありげに公言している。連立政権を組む社民党は「グアム、サイパンなどの県外移設」。国民新党は「あえて県外移設にこだらない」と政権与党内で不協和音だ。こんなことで果たしてこの政権が維持できるのだろうかと不安になるのはオイラばかりではないハズだ。
 そもそもこの密約説は1971年(昭46)、当時の毎日新聞政治部記者だった西山太吉記者がスクープしたが、その記事は外務省機密漏洩問題と同省の女性職員とのスキャンダルに論理を摩り替えられ西山記者は新聞社を追われた。
 当時の米国大統領は、ウォーターゲート事件で悪名高きニクソン(共和党)で出身地の南部の繊維団体から日本の繊維製品のアメリカ本土からの締め出しを迫られていた。これが世にいう「日米繊維交渉」。日本は政権末期の佐藤栄作政権が出口の見えない同交渉の最後の切り札として登板させたのが誰あろう田中角栄だった。当時の政権は沖縄返還交渉も迫られていた。その田中が語っているところによれば「繊維など簡単なことだ。沖縄返還と引き換えに繊維交渉でアメリカ側のいうところを全部呑むことだけでなくロッキード・トライスターや軍用機などの購入を約束していたことを示唆していた」と当時の通産官僚が語っている。
 つまり巷間いわれている「繊維で沖縄を買った」のだ。そして沖縄返還交渉の中にくだんの「日米密約」が存在していた。それが後々のロッキード事件にも発展する萌芽をはらんでいたということだ。
 問題はその密約を何故にこの時期に公表したかだ。オイラ流に解釈すれば現政権は一発逆転本塁打をねらった起死回生の策に出たのだと思う。普天間基地問題は前政権の自民党辺野古湾を埋め立てて海上基地を作ることで日米間で合意している。それを恐れ多くも現政権は真っ向から否定してかかった。そして自ら首を絞める結果になっている。鳩山・小沢のオボッチヤマ政権は、自らの失策を誰かに押し付けようとしているとしか思えない。それにはこの時期、戦後政治を担ってきた自民党の恥部を世間に公表することで政権の延命を図ろうとしているとしか思えない。
 恐らく普天間基地問題も「泰山鳴動してネズミ一匹」の如く当初案の辺野古湾周辺で落ち着くだろう。そして連立与党の枠組みも変わるのではないだろうか。