黄 昏
桜はまだ咲いていなかった
寺泊の浜には冬から春に続く風が伝わっていた
2歳となった娘は喜びいさんで砂浜を駆け巡ったけ
日本海に沈む夕日も大きかった頃
2人の背からは楽しそうな会話が聞えてきそうだった
人生なんてそんなに甘くないよと教えてあげたかった
漁に出ることがない船が寂しそうに浜につながっている
カモメが2羽荒れる日本海を飛んでいった
人に左右されない自由なんてあるのだろうか
時が過ぎれば花も枯れる
生きとし活けるものにも限りがある
夏の夜空に映える大花火もきれいだが
秋の長雨の中にそっと咲くコスモスもまたきれいだよ