ながおかドキドキ通信


 小説「光る砂漠」ー夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
 1962年2月
 母レウからの手紙で祖父の死を知らされる。ベットの上で手数を見ながら嗚咽する宰。「大男になって またいた゜り よじ登ったり いっきにかけおりたりして ふるさとへ帰りたい」(宰の詩集から)
  早春の宰の病室
 大好きだった祖父の死を忘れようとするかのように病室の中で歩行の練習に励んでいる宰。ゆっくりと何回も何回も入り口と窓の間を往復している。そこへ吉住先生と遠間先生が一緒に入って来る。遠間先生は宰の歩行の練習を見てビックリする。「矢澤、大丈夫か」と遠間先生。「宰君、体調がいいからといって無理しちゃだめだよ」といいながらも宰の頑張りに目を細める吉住先生。
 「矢澤。いや宰君、二学期から養護学校に通ってきたが君の成績は抜群にいい。それで校長先生とも相談したんだが4月から君を3年生に進級させることになったんだ。どうだうれしいだろう」と遠間先生。「・・・」驚いた様子の宰。その傍らにはやさしい眼差しで宰を見る吉住先生。「本当ですか。本当にそんなことってあるがあですか」と宰。「あるんだよ。それは君が立派に中学2年生としての学力を身につけているといことだかさ」と遠間先生。「そんらば今年の4月から来年の3月まで養護学校に通えばちゃんと中学卒業ということになるがあですね」と宰は疑心暗鬼で遠間先生にたずねる。「そういうことだよ」と遠間先生。「やった!やった!」と両手にコブシをつくって嬉しさを表す宰。「先生、オレ頑張ります」と宰。
 「宰君、寝たきりだった君が病気と戦ってこの病院の中にある中学を卒業してゆくことは、きっとこの病院に入院している子どもたちにも目標になる。これからも体調に注意して学校に通い病気を治すんだ。いいね」と吉住先生は遠間先生と顔を合わせながら宰を諭した。「吉住先生、遠間先生ありがとうございました」と宰は深々と頭を下げ礼をいう。
 「青春とはき、可能性とは・・・僕は、この頃、努力ということを現実的に考えるようになった。今は、とにかく結果なんてどうだっていい。自分のベストをつくし自分の力をたたきつけることなんだ」(宰の日記から)。ベットの上で天井を見上げなから顔はうれしそうに輝いている宰だった。

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