ながおかドキドキ通信


    小説「光る砂漠」ー夭折の詩人矢澤宰の生涯ー
     三條養護学校の教務室
 授業を終えて教室から出て行く宰。廊下を歩いて病室へ帰る途中にある教務室の前に来ると戸が開いていて吉住先生と遠間先生が真剣に話し合っている。
 「矢澤はこの間、3日間家に帰って家の人と同じ生活をしてきたがその後の検査の結果は決して悪くない。十分、一般の人と同じ生活に耐えられますよ」と吉住先生。「そうですか。学業も高校へ進学するだけの学力はあります。問題は矢澤が高校入試までにちゃんと退院できるかということが問題ですね・・・」と遠間先生。「高校入試までには退院できるでしょう。ただ願書を提出する時点での退院は無理です。中学の卒業式をここでやって入試を受けるのです。遠間先生、何とかなりませんか」と吉住先生。「何せ今まで前例がないもので・・・。現時点でいい考えが思いつかなくて」と遠間先生。
 「たとえばこういうのはどうでしょう。中学を卒業して退院するのは時間の問題ですから。健康面から退院見込みということで願書を受け付けてもらっては。高校の入学式の4月にはまちがいなく退院しているのですから」と吉住先生。「しかし、今まで養護学校ではそんな例はないし・・・。果たして高校側が受け付けてくれるかどうか・・・。ただお願いしてみる価値はあると思います。私たちが取り組んでいる療育給付制度拡大にも大きな力となりますからね」と遠間先生。「何とかその方向で高校側を説得してもらえませんか」と吉住先生は遠間先生に懇願する。「分かりました何とかやってみましょう」と遠間先生。
 2人の先生は宰の高校進学をめぐって一定の方向を見つけ出し表情も明るい。廊下から2人のやりとりを目撃していた宰は内容は理解していないが自分のことを2人が話し合ってたことを悟る。
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